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自己満足系気まぐれ更新日記

2021/09/05   東京オリンピック 2021 体操 前編「内村航平」編

えーー!!今さらーー!!

って自分でも思うこのタイミングで
東京五輪を振り返る。

別に意味なんてないのよ。
ずーーーっと下書きに入りっぱなしだっただけよ。
だいたい、競技日程いつだったのよ、って話。
1ヶ月以上ですよ!!
1ヶ月ですってよ奥さん!!


というわけで、
前置きはチャッチャと切り上げて
まずはご贔屓競技、男子体操から。


とにかく今回、
私がいつも以上に注目だったのがこの人、
内村航平。
年齢的にもう出場は難しいか・・・
なんて言われたこともあったこの五輪。
その切符を、
執念とも言える様相で勝ち取ってきたところからしてもう
1本の映画が始まってたわぁ、って感じ。

6種目やってこそ体操。
そう言い続けてきたこの人が、
鉄棒1本に絞ってでも食らいついてきたのが
この五輪の舞台ですよ。
その決断だけでもう、
見る人の心揺さぶってくるわぁー!!

でも、
その決断をしてから挑んできた大技「ブレッドシュナイダー」は
なかなか形にならなくて、
何度練習しても鉄棒のバーを掴むことすらできない。
そんな期間が長く続いた後に
五輪を見据えて開催された国際試合では、
それが嘘だったかのように
鮮やかにその技を決めてきて、
見ていて興奮しまくったものですわ。
その後も、
五輪代表選考会を兼ねた NHK杯、全日本種目別選手権・・・と、
公式戦で次々に危なげなくブレッドシュナイダーを決めて、
もう完全に技をモノにしてるじゃん・・・!!
と、私がフガフガしてる間に五輪代表内定。
でも当の本人は内定が決まった試合の演技に満足できず、

「ダメです」
「これじゃあレジェンドとかキングとか言えないですよね」

・・・と、
試合後のインタビューで冷淡に言い放つのを見た時は、
マジで侍だなこの人は!
とか思って唸ったし、
その侍が次に挑むのがいよいよ東京五輪か・・・!
と思ったら
ウキウキソワソワするなというのが無理って話。


でも、いざ迎えた五輪本番は、
まさかの落下、予選落ち。
ブレッドシュナイダーは完璧な出来だったのに、
その後のひねり技で落下。

「絶対に出たい」
「人生最大の目標」

五輪の東京開催が決まってから
ずっとそう口にし続けてきた内村の、
その舞台が、今終わった。
私はもう、
テレビの前で見てるだけなのに、
しばらく現実を受け止められなかったわ。
「えーーー!!」「うそーーー!!」
て、何度言ったか分からん。

再開後の演技は落下の影響を感じさせることもない美しさで
着地もしっかりまとめてきたのに、
たったあの一瞬で勝負が決まってしまう。
現実はなんとも残酷なものよ。


努力と苦難の日々は果てしなく長いのに、
勝負はいつも、一瞬で紙一重。
散る時っていうのはいつだって儚いもので、
だからこそ、そこには

ドラマがあるし、
感動があるし、
散る姿さえ美しかったりもするんだけど、

・・・分かってるさそんな事は!!
それが体操を好きな理由でもあるわよ!!
あるんだけど!!
あるんだけど・・・!!

それでもやっぱり内村には
この五輪の決勝の舞台に立って欲しかったし、
そこで戦う姿を見たかったんだぁぁ!!


でも、
その予選が終わった後のインタビューの内村は、
なんというか、流石だった。

自分自身の演技を
手厳しくも冷静に振り返りながら、

「(代表枠を争った)米倉に土下座して謝りたい」
「すごくネガティブなことしかいまは出てこない」
「若干、心ここにあらずという感じで」

・・・と赤裸々な言葉を並べつつも、

「これまで準備してきたものを出せなかったことは
 本当に悔しさしかないです」

そう語る前に、

「変にスッキリはしていますけど」

という言葉が添えられていたり、
それを語る表情には動揺もなく、
なんなら清々しさすら感じるくらいの、

いつものような落ち着きぶり。
それを見ていると、
やっぱり内村は内村だなと思ったし、
この日までの道のりを思ってまたジーンとなった。

特に、最後のこれ。

「僕はもう主役じゃない」
「彼ら(決勝に残ったメンバー)が主役」

これをこの場面、このタイミングで、
悔しさも負け惜しみも滲ませることなく
「心から」という表情で言える強さよ。
常人では想像もつかないものを積み上げてきた人の、
言葉の重みの沁み具合といったらないね。

散る姿すら美しい。
そう思える人には、
そう思わせるだけのものが、やっぱりあるわ。


「体操するのは "もういいのかな" と思ってしまった」
「(他の日本代表選手の演技を見て)
 やっぱり "僕はもう違うのかな" と思っちゃいました」

この時のそんな言葉はちょっと話題にもなったけど、
私はこれ、
自分の体操に終わりを告げるというニュアンスの言葉じゃなくて、

自身のことよりこれからの体操界のこと、
その未来を頼もしく思う気持ちが
シンプルに勝った嬉しさ、
その素直な表現なんじゃないかなーと、
そう思えてとても感慨深かった。

自身の五輪2連覇について、
「やっぱり過去のこと」
「それは彼らが超えていかなければいけないことだと思っている」
そうサッパリと捉えているあたりも
相変わらずあっぱれな男らしさじゃーと思ったし、
それでいて、
その内村航平という存在を「超える」ことに対して
最後に言うセリフがこれだもんね。

「それ(超えていくこと)を今日見させてもらったという感じ」

そして、
別のインタビューではこれ。

「これからの体操界を引っ張っていく存在はもう、
 今日で生まれてると思う」


何かの目的や誰かのために
求められて紡ぐ言葉じゃなくて、
強く芽生えた思いが生きた言葉になって

スルリと出る。
ブレずに重ねてきた努力に自負がある人は、
他人を認める言葉までカッコイイわ。

その後の発言だったからなのか、
「(自分はもう)いらねぇな、と思いました」という言い方にも
ネガティブよりもポジティブを感じたし、
そうキッパリ言い切れるなんて
やっぱり本物だわぁ
真の芯の強さ見たわぁ
・・・と、
ダジャレで茶化さないと気恥ずかしくなるぐらい
感慨に浸っちゃう私でありました。


勝ったか負けたか、
その結果そのものよりも、
そこに至るまでにどんな努力の日々があったか。
戦う姿の裏にそれを思うから、
人はスポーツを見て感動するし、力をもらうんだなー。

月並みではあるが、
その思い噛み締める、内村航平のオリンピックでした。

賛否両論渦巻く中で、
それでも五輪が開催されたことを、
今は心から嬉しく思います。



最後に、
後日テレビで見たインタビューにて、
ハァーーン!!やっぱアナタ最高!!
ってなった言葉があったので書き留めておく。


「努力は裏切られることもあるというのを学んだ」
「次の世代に伝えていく身としては成功だけ語れても仕方ないので」


手放しで賞賛したいというよりも、
唸らせてくれるお言葉。

最高。

(記憶を辿っての文字起こしにつき、言葉尻等の差異はご容赦を。)



参考記事:

■NHK
オリンピック 体操 内村航平“僕はもう主役じゃない”
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210724/k10013157641000.html
(予選開催日)

■NHK
内村航平インタビュー「人生最大の目標」を終えて
https://sports.nhk.or.jp/olympic/highlights/content/afcc0520-3304-4eb3-8afa-ad377fa78585/
 

 

 

 

後編はこちら。

 

■東京オリンピック 2021 体操 後編「団体メンバー」編

http://www.mimuroid.com/blog/posts/archives/536

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