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自己満足系気まぐれ更新日記

2021/10/30   世界体操 2021

例外的に五輪と同年開催となった今年の世界体操が先日閉幕。
なんだか今回は、
とても一言では感想を言い表せないような大会だった。

世間的にも、私の中でも、
やっぱり大きな注目の的は
五輪で決勝進出を逃した内村航平の鉄棒。
事前のインタビューで本人は
「リベンジというのは違う」って言ってたけど、
でも、
どうしても私は
五輪の無念をせめてここで少しでも・・・!!って、
思ってしまうわけですわ。

まあでもそれはメダルや順位がどうのこうのというより、
とにかく決勝に進んで、
大きなミスなく演技を終える所を見たい。
それが一番。
やっぱりファンとしては、
内村のそういう姿を一番見たいわけ。

結果、
落下はもちろん、
目立ったミスなくすべての技が決まって、
もう、見ていて嬉しいのなんの。
でも少し複雑だなとも思ったのは、
流石は内村航平!と手放しで喜ぶ感じというより、
満身創痍のレジェンドが意地を見せた、
って感じ。
前評判では金メダルの可能性にもチラホラ言及があったけど、
正直言って、実際の演技は
これは金いけるかもって感じではなかったし、
どちらかというと、
全盛期の内村の演技に近かったのは橋本の演技。
離れ技の高さと、スピード感と、
組み合わせ技で魅せるワクワク感。
フワっとした言い方で言うと、華がある。
その感じは断然、橋本だった。

でもなんだかね、
それが結構良かったなーって。
そう思ったところに、
感慨深さがあったというか何というか。

現実的に言って、
国際大会で内村の演技を見るのは
これが最後かもしれないなぁという思いは
まあ、あった。
というか、
もっと前は東京五輪がそうなのかもしれないと思ってたのだけど、
そんな折に頭角を現してきた橋本大輝の存在は
私の中で結構デカかった。

彗星のごとく現れた感じが、
北京五輪の時の内村と重なるのよね。

少なくとも私は、北京五輪より前の大会では
内村航平なんて存在は知らなくて、
テレビ見てたらいきなり、
え!誰これ!?って若者が
あっという間に銀メダル掻っ攫っていった、
みたいな感じだった。
で、東京五輪の橋本の時は、
直近の世界選手権(2019年)を見て
これからが楽しみな選手だなー、
きっとこれから強くなっていくんだろうなぁー、
・・・なーんて思ってたのに、
東京五輪でいきなりスパーン!と金メダル。
えぇ!?いつの間にそんな選手になってたの!!
みたいな。

私の中ではそれが、思いっきり重なるのよね。
ノーマーク同然だった選手が颯爽と現れて
派手に結果残してく感じが。
そんな存在は私の中で内村だけだったのにと思って
悔しくなっちゃうぐらい重なるのよね。笑

でもそんな2人が今回同じ決勝の舞台で戦ってるっていうのが、
なんか凄い巡り合わせだなと思って。

競技選手のファンとしては
国際大会で選手を見られなくなるのは寂しいが、
でも、その時は必ず来る。
それまでに、次の後継者が現れていて欲しい。
そういう思いもまた強い。
それが今回、最高の舞台で見られた気がする。

歳で言ったら一回りも違う2人よ。
方や、「全身痛い所だらけ」というまでボロボロになりながらも

意地を見せるレジェンド。
方や、若さほとばしらせる新進気鋭のルーキー。
その2人の演技順は見事に
内村の次が橋本、という形で繋がっていて、
最高のバトンの渡し方だったな、
なんて思ったわ。

しかも、内村のあの、微動だにしない着地よ。
あの場面でこれだけの美しい着地を決めてくるとはね!!
圧巻だったし、芸術的。
そのたった一瞬に内村航平という競技人の歴史が集約されていたような、
本当に見事で気高い瞬間だった。
演技後、本人が「会心の一撃」と語るほどの着地を
このタイミングで見ることが出来て、

本当に嬉しいわ!!
「これ以上ない」
「今でも衝撃、音を覚えている。」
「リオの時に近かった」
そういう言葉ひとつひとつにも、いちいち感激。
リオの着地って、アレよ。
あの、ベルニャエフとの死闘の末に、
有無を言わせぬ雰囲気バリバリ放ってた
あの着地よ。
それを思い出しただなんて、
あー、もう、感激だなーー!!

今回の大会、内村自身が予選後に、
「結果は本当にどうでもいいんだなと思った。」
「お客さんの前でやれることがありがたい。ぶっちゃけそれだけでよかった。」
「お客さんに盛り上がってもらうこと。演技で返す。それがスポーツのあるべき姿だなと今日は凄く感じた。」
と語っていたのもまた印象的。
結果にこだわってきた内村がこのセリフ!って驚いた分、
それだけ本気なんだなぁとも思ったし、
しかも、
「結果どうでもいい」と言える理由が
「僕は散々残せるだけ残してきたので」っていうのが凄いわ。
そんなこと言えるのが、そのセリフが似合うのが、
本当に凄いし好きすぎる。

そして、
その言葉は綺麗ごとなんかじゃなく、心からの言葉なんだなと思ったのが、
決勝後の、橋本と並んでのインタビュー。
6位という結果とは思えないくらい、
晴れ晴れした明るい表情でインタビューに答えていたのが
鮮烈と言っていいくらいの印象。
ブレッドシュナイダーは(バーに)近づいてしまった、
でも、着地はこれまでの中でも(これまでの数々の演技と比較しても)良かったと、
いつものように淡々と冷静に自分の演技を語った時も、
橋本大輝について、
「もう僕の助言とかそういうのもいらないレベル」と語った時も、
それらを語る間ずっと
明るいというよりキラキラした嬉しそうな顔してたのが
本当に本当に印象的。

あの内村が、
メダルも手にしてないのに
こんな嬉しそうな顔見せる時が来るとはね・・・!!
もうその境地にいるんだなと思うと
少し寂しい気もするけど、
でも、
それ以上にとんでもなく素晴らしいわとも思って、
本当に心から感動だった。

本当にこの人は、体操って競技が好きなんだなと。
日本の体操を愛していて、
それを支える次の世代が頼もしく育っていることを

心底喜んでるんだなと。
そう見える今の内村航平は、
ひたすら自分の体操とだけ向き合っていた若かりし頃の内村航平より
ずっと魅力的だなと思ったわ。

その孤高の時代も、
それはそれで好きだったけどね。笑
でも、
そこから変化と進化を重ねて
今に至ってるって事実が、
まぁーー呆れるほど素敵で輝かしいな!とか思うし、
その周りにはもう
内村の背中を追いかけて育った頼もしい後輩がいて、
既に栄えある結果まで残してるなんて、
何という素晴らしい時代かしら!とかも思うし、
とにかく、私の感動スイッチは、
やたらめったら押されまくりなのであります。

黄金の!!
黄金のバトンが今!!
日本中に見守られながら手渡されているよぉぉ!!
(妄想が暴走)

そして、
あと一歩のところで金を逃した橋本は
本当に惜しかったね!!
種目別鉄棒は 0.1 差、

個人総合なんて 0.017 差って!!
でも、橋本はまだまだこれからだから。
今回出てなかったロシア勢の強豪も
次は揃って出てくるんだろうし、
その時またこれまで以上の強さを見せて欲しいな。
もうしっかり結果を受け止めて
前進の糧にしてるのがひしひし伝わって来たから、
心配いらないんだろうけど。

そう言いながらも私は、
この世代では北園の体操が一番好きだけどね!!
怪我をしっかり治して、

また表舞台で輝いてくれー!!

それから、
この日本チームをここまで引っ張ってきたのは
今やすっかり萱だと私は思っていて、
その萱が得意のあん馬で銀メダルを取ってくれたの
本当に良かった。

五輪から順位を1つ順位を上げての銀メダルだし、
五輪だけでなく「今回獲ってこそ本物」という

本人の思いが叶った形だし。
まぁそれでも萱自身は金が欲しかったと思うけど、
でも、
順位が確定したときのガッツポーズは
やっぱり見ていて嬉しかったわ。

エースは橋本でも、
萱にはまだキャプテンでいて欲しいな。
そして、エース橋本のライバルとして
北園がいて欲しい。
今後私が楽しみにしてるのは、
そんな構図なんだよなーと、
しみじみ噛み締める大会だった。

そしてもう1人。
今回のこの大会で解説を務めた白井健三。

白井の解説、凄く良かった。
意外だったけど、上手いんだねー!!
快活でテキパキしてて、
これから見る試合が楽しみになるようなコメント、
とても良い。
まったりした米田の解説とまた
カラーが違うのが良いよねぇ。笑

白井の今年の引退のドラマには
私も感慨味わった1人だけど、
その引退後の道で掴んだものを
早速形として見られたのが嬉しい。
へぇ!結構輝いてるじゃん!っていう。

ポスト内村かと言われたりもした白井に対しては、
もう一度晴れ舞台に戻ってきてくれないかしらと
思ってた時もあったんだけどね、私は。
そうなればそれが一番いいんだろうとも思ってたし。
でも、そうじゃないんだなあと。
最初に "そうじゃないんだ" と思ったのは
引退会見の時だけど、
こうやって引退後の輝きを実際に見て、
本当に良かったなぁって。
指導者の道にやりがいや適性を見出したっていうのも
頷けるような喋りでさ。
新しい門出を素直に祝いたい気分よ。
白井、お疲れ!!おめでとう!!


今回の世界体操は、

団体種目がなかったり、
ロシアも中国もベテラン選手が出てなかったり、
ウクライナのベルニャエフも出てなかったりと
(マジでめっちゃ見たかったのに!!)
色々あったと言えばあったのだけど、
でも、
結局私は体操競技が好きだわぁ
と思ったのでした。

結果的に日本のメダルラッシュになったのも嬉しい。

 

個人総合 橋本・・・銀

あん馬 萱・・・銀

鉄棒 橋本・・・銀

ゆか 南・・・銀

跳馬 米倉・・・銀

 

凄いわー!!

 

女子なんて金2つだしね。

平均台の芦川と、ゆかの村上。

村上はこれが引退試合だったし、

平均台でも銅メダルで、

もう、めでたい!!


久しぶりの有観客開催っていうのも良かったね。
スポーツで勇気を、力を、とかいうのは
胡散臭い綺麗事に聞こえるときもあるけど、
やっぱりそれなりに真実だよなぁ
と思っちゃう。
大舞台を大勢の人が囲んで
一斉に歓声を上げるってシーンが、
私はやっぱり好きなんだなー。
そういう感動の渦の真ん中で
誰かが輝いててさー。

いいじゃないか、そういうの。
たとえそれが画面越しでも、
満ち足りた気分になるには十分よ。

 

東京五輪が開幕する前

有観客での開催をずーっと願ってた内村が、

やっとこの大会で大勢の拍手の中でガッツポーズ決めてるの見て、

ホントそう思ったわ。

日本のメダルラッシュも嬉しいけど、

そういう一方で、

順位よりも魅せる演技、観客を楽しませる演技の良さも

またありかぁー。

とにかく、いい大会になって良かったわ。



最後に。
今回そういう感動を得られたのは、
一時代を築いた絶対王者・内村航平の国際試合での演技は
これが最後になるかもしれないから、
その最後かもしれない雄姿を見られたから、
・・・ではない。

そりゃその思いが少しもないと言ったら嘘だけど、
でも、感動の本質はそこじゃないのよね。
日本の体操は内村航平だけじゃない。
その「だけじゃない」次の世代に
華々しくバトンが渡ったところが、
その事を、
一時代を築いた内村航平自身も喜んでいたところが、
感動的だったからなのよ。

それに、もう一つ。

これで最後だと、もう先は長くないからと、
そう思うから美しい、
そんなのは違うと。
終わりが近づいていようがいまいが、
素晴らしいものは最初から素晴らしい。
なのに、

最後だからって理由で感動するなんて違うだろうと。
そう言った人の言葉を、
思い出していたからです。

本当にそのとおりだなぁと思うし、
素晴らしい考えだなと思って

ずっと心に留めてたのだけど、
それをこのたび思い出したことで、
楽しみが1ランクアップしたような気分。

その人は渡會将士っていうんですけどね。
体操全然関係ないですね。
ミュージシャンですからね。フフ。


ま、そうやって
色んな人の言葉とか場面とかが重なって
今の自分があるんだわぁ
とか思うのもまたいとをかし。

 


素敵な時間をありがとう、世界体操。
また次の開催も楽しみに♪




参考・引用記事:

■THE ANSWER

 

内村航平「本当に意地を見せた」 鉄棒暫定3位、歓声に感無量「結果はどうでもいい」
https://the-ans.jp/news/195517/

 

五輪&世界体操で連続メダル 鞍馬銀の萱和磨「今回獲ってこそ本物。次は個人総合で」
https://the-ans.jp/news/196409/

■産経新聞

 

内村ふわり、会心の着地「これ以上ない。やりきった」
https://www.sankei.com/article/20211025-RZHT3XEEVZNVRPEQN6U4KKMDUA/
 

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