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自己満足系気まぐれ更新日記

2019/12/23   シングル選手・高橋大輔の最後の舞

高橋大輔のフリーの滑走が昨日終わった。

悔しさも残る結果だったろうけど、
見ている私としては、
あぁ、高橋大輔は高橋大輔を全うしたんだなぁと、
そんな感じがする演技だった。

ジャンプは2度、3度と、
ミスで決めきれないシーンがあった。
最初のジャンプは華麗に決めてきたし、
後半の3回転+2回転のコンビネーションジャンプと
トリプルのジャンプも綺麗で、
わぁ!やった!って思うようなやつだった。
でも、
悔しかったと思う。全体を見たら。
演技後のインタビューでも
「ショート、フリー共に、ボロボロっちゃボロボロだった」
「グダグダで終わっちゃったんですけど」
なんてセリフが出たし、
「現役最後のジャンプ・・・!」と熱のこもった解説が重なる
ラストのジャンプでも膝をついた。

でもそのシーンで私は一番、

感極まってしまった。

膝をついてもすぐに力強く立ち上がって、
手を広げて舞うようにスピンを回って。
そこから、
いざクライマックス、って雰囲気がバリバリな
ステップの見せ場。
それを迎え撃つ高橋は、
挑むような、腹を決めたかのような佇まいで、
それを見る私は、
期待が半分、
ここだけは決めてくれと、祈るような気持ち半分。

でも、そこで見せてくれたあのステップは、
本当に迫真ものだった。

これこそが高橋大輔のステップだ、
とも思ったし、
必死に滑っているようにも見えた。
それがせめぎ合うような演技は、
なんとも言えない気迫に満ちてて、

でも艶やかで。
余裕の滑りとは違う懸命さが見えたけど、
それがかえって熱を帯びて見えてきて、
本当に情熱がほとばしるようなステップだった。

でも、これで最後なんだな、と。

たとえ今後、同じ演技を滑ったとしても、
選手として演じるのはこれが最後。
そういう事実として実感したのもあるけれど、

それよりもなんだか、
高橋自身が「最後の演技」に懸けた思いが
形になって表れてるように見えてきてしまって、
涙をこぼしながら見てしまった。


最後のジャンプで膝をついた高橋が、
一瞬で立ち上がって、
体制を立て直して、
そこからステップを滑りきるまでの流れは、
本当にこみあげるものを感じたわ。

足を蹴り上げて宙を舞う所で、その感情、頂点。
曲が持つ感情を乱すことなく、
引きつけた観客の目を離させることなく滑りきったのが
凄く高橋らしかったし、
少なくとも私は、
この人のスケートのこういうところが好きだったなと、
それが詰まっていた演技だった。


「一度、自分の中での精一杯を目指してみたいなと」


復帰後の対談番組でそう語った高橋の、
目指すものはここに、ちゃんとあったんじゃないかと。
勝手ながらそう思えるような演技に、
とにかく涙がボロボロ出た。

 


1年前の全日本選手権で、
ピタリと止めることができなかった最後のポーズを決めた時なんてもう、

感慨深さ、ひとしおだったよ。
武骨に闘うような滑りも見せつつも、
最後まで観衆の目をひきつけて、
ラストは光散るような姿で終える。
そのあと、
少し悔しそうな顔もして、
でも、最後の最後は

内から溢れるような晴れやかな笑顔。
そんなところにも、
これまでの道のりの全てが現れてるみたいでさ。

 


演技後のインタビューで、

「カッコイイところ全く見せられなくて。笑」

「次に向かうにあたって締めるとこ締めたかったんですけど
締めきれなかったなっていうのは僕らしいかな、っていう。笑」


そう言って笑う清々しさと、

「温かい声援が本当に嬉しかった」

「次に向かうんだな、終わったんだな、というのを
 今、実感してしまって」

そう言って言葉を詰まらせるシーンの感慨と。

でも、
やっぱり一番はこれだった。


「綺麗な終わり方はできなかったですけど、
 スッキリ次に向かえるかなとは思います。」

「一区切りさせてくれる場所を与えてもらえて
 本当に幸せだったなと思います。」


演技とこのインタビューの両方を見て、
煌びやかな結果と成果だけが
輝かしいわけじゃない。
必死で何かを目指す人間の美しさここにあり、
みたいな、
心の底からの感動をこの目で見た感じだった。
他の誰でもない、自分が決めた自分の道を、
懸命に進んできた人間が背負ってきたものが
解き放たれた感じがしたわ。

 

改めて、

地道で、必死で、泥臭い努力が
いかに尊く美しいかを見せつけてくれたあなたは
震えるほどにカッコよかったし、
そしてその先にあったあなたの笑顔は、
人々の心を打ったと思う。

お疲れ様。
第二のスケート人生も、
どうか自分の道を全うしてください。
 




最後に、
試合後の高橋の言葉が語られた記事、
見つけたのでリンク貼っておきます。

「心残りはない。シングルで戦うのは無理だと感じたし、
次に向かって気持ちはすっきりしている」

うん、よかった。

1シーズンの復帰だけでも嬉しかったのに、
2シーズン目の続投を決めてくれたこと、
本当に嬉しかったよ。
卒業おめでとう。ありがとう。

 

 

■毎日新聞
高橋、万感のラスト「大ちゃん」コールに「ウルッとくる」
全日本フィギュア
https://mainichi.jp/sportsspecial/articles/20191222/k00/00m/050/194000c

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