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PIERROT解散について

こりゃー語らねばなるまい。
思い起こせば十数年前。
「PIERROT解散」というニュースは実に突然で、それでいてあっけなく、
どんでんがえしの末の「何だよそれ!」という形でやってきた。

PIERROT 解散の経緯を知らない人のために先に少しだけ説明しておくと、
ことの顛末はざっと以下のような感じ。

・アイジ、潤がソロ活動を希望。
・PIERROT をやめてソロをやるか、PIERROT も並行してやっていくかを決めるためにも、 約一年間ソロ優先期間を設定。
・その間、PIERROT は活動休止。
・期間中、キリトはソロで CD 数枚をリリース。
・アイジ、潤はそれぞれバンド(LM.C、ALvino)を結成。対バンが企画されるも中止になる。
・活動休止期間終了。PIERROT 全国ツアー開始。
・ツアーファイナル公演にて、PIERROT 継続を発表。
・約3ヶ月後、ファンクラブ限定ライブ開催。
・その10日後、ソロ希望メンバー(アイジ、潤)とそれ以外のメンバーとの意見不一致を理由に、公式サイトにてキリトから解散発表。
・そのまままともな話し合いはできないまま、アイジ、潤は音信不通となり、その後も解散については沈黙を守る。

もう少し詳しい経緯はこちらに掲載しているので、興味があればどうぞ。


そもそも解散前、私にとってのPIERROT解散説というのは
ちょっとだけリアリティのある噂話、という程度のものだった。
PIERROT 活動休止期間中も、こういう話はバンド結成数年経てば珍しくない話だしなあー、という思いが第一。
全く気にならないと言ったら嘘になるが、
それほど解散の危機も感じていなかったというのが正直なところ。
活動休止とはいっても、新譜が発表されないだけでライブは何度かあったので、
PIERROT が解散して一切なくなってしまう、っていうのはどうも実感がなかったというのもある。
ソロ並行で PIERROT としての活動頻度が減るってことはあっても、活動自体は再開ってところに落ち着くだろ、的な考えだった。

そんなわけで、活動再開後のツアーのときも、
「TEMPORARY DECISION」(和訳:一時的な決定)なんていうあからさまなツアータイトルにも特に何も思わず、
いよいよファイナル公演が間近、って頃にネット上でピエラーの意見のやりとりを見て「あ、噂ってホントなんだー」って思うぐらいのお気楽ぶり。
PIERROT 解散の危機に初めて現実味を感じたのは多分、ツアーファイナル公演当日だった。(笑

結局、そのライブでのキリトの「PIERROTは今後も解散はしません」って発言では、歓喜して涙することになったんだけど、
涙した自分に自分でも驚いたぐらいに、そこに至るまでにドラマは何もなく、
突然ショッキングな事故に遭遇したけど怪我人一人もいませんでしたみたいな、なんかそういう心境だった。
えっ!?なになに!?ってなった次の瞬間、
なんだよもー、びっくりしたなぁー、的な。
でも、PIERROT がなくならなくてよかった!という思いも、これまた自分自身意外なほどに大きなものだったので、
マイペースピエラーっぷりは相変わらずだったものの、なんだかしばらくホクホクした気持ちでいたものです。

なのに突然の解散発表。
しかも、たいして仲良くもなけりゃピエラーでもない知り合いとの世間話にて、
「そういえば、PIERROT 解散したんだってね?」という、軽いタッチで知らされる。
その時の私は、あー、まだ解散の噂がはびこってんのかー、などと考えていて、
「それね、ついこないだ本人の口から、解散はないって出たばっかりなんだよー」などとヘラヘラした調子で返したら、
「でも、ピエラーの友人から聞いたんだけどねぇ」との答えが返ってきて、
ようやく「えぇっ!?」となる。
そして、まさかねー、なんて思いながらオフィシャルサイトを見て愕然。
解散コメントでてる!!キリト名義って、本物!!
しかも発表されたの 2、3日前じゃねーか!!


その当時の心境を一言で言うと、
「こういうのを青天の霹靂って言うのね。」って感じ。
そしてとにかくアイジと潤に腹が立ったのを覚えている。
私はその当時も変わらず、周りが呆れるほどのジャーだったんだけど、
それ以前に、PIERROT がなくなっちゃったらジャーもクソもないので
潤びいきな考えになることも特になく、
解散しない宣言ちゃぶ台返しの中心にいた潤とアイジに対して思うことは、シンプルに「バカヤロウ!」だった。

だってさ、PIERROT 続投は全会一致の意見と伝えられたのにも関わらず、
3ヶ月後にはソロ活動希望のアイジ・潤との意見折り合わず解散だなんて、納得いくわけない。
じゃあ何だ、キリトのあの PIERROT 続投宣言が独断専行だったとでもいうのか、とも思ってはみたが、
もし仮にそうだとしたって、あの場にメンバー全員いたのに止められなかったってことはないだろうよと。
むしろ、だったとしたら是が非でも止めろよと。
何があったか知らないが、大の大人があの公式発言のあとにこれはない。これはないよ。
泣いて喜んだだけに、バカにすんなよコノヤロウ!みたいな、
なんだか妙に悔しさあふれる思いだったような気がする。

同時に、あまりのあっけなさに拍子抜けもしたし、
PIERROT はもうない、ということはあの曲もあの曲も二度と聞けない、と思ったら、率直に悲しくもあったし。
茫然、悲しい、腹立つ、みたいな。
そのあたりの感情がランダム再生エンドレスループな感じだったかなぁと。


そのあと、主に雑誌のインタビューを通して解散の裏舞台について少しずつ知ることになったんだけど、
結局、解散について何かを語ったのは、キリト、TAKEO、KOHTA の「残る者」の側だけなので、真相は闇の中。
部外者が聞いても理解できない世界なんだろうし口出すことじゃない、
と頭では分かってるんだけど、
何でこんなことになっちゃったんだよー!!!なああああんでだよー!!!
っていうのが本音。
なんせ解散しない宣言からの展開が急すぎる上にその理由もわからないし、
元々はメンバー仲の良いバンドだっただけに
最後は音信不通でまともな話し合い出来ずとかいう驚愕のネタまで揃ってると、
気にしても仕方ないと分かりつつ気になって仕方ない。
特に解散当時は、あれこれ想像を巡らせたもんだったけど、
それも繰り返し考えてるうちに気が済んだ。
なんというか、話自体はよくある「方向性の違い」とか「感情論の末のすれ違い」とかで、
結果的には結論を急ぎすぎたってことなんじゃないかなあと、今は思うことにしている。


当時のアイジ・潤の振る舞いは責任ある大人のやることじゃないと思うし、
その思いは今でも変わらない。
でも、あの一件がなければ PIERROT が解散することはなかった、とは思わない。
彼らに非があるとしたら、それは解散劇をあんな形にしたことであって、
解散の理由や原因に関して言えば、
2人は単に引き金を引いただけなんじゃないかと思っている。


私個人の意見で言えば、
あの5人がそろって活動している姿が好きだったので、PIERROT は是非とも存続してほしかった。
PIERROT が続くなら、メンバーが PIERROT 以外の活動をするのも賛成だったので、
そこに対してネガティブな思いも特にない。
PIERROT では発表しにくい音楽っていうのはあって当然だと思うし、
かといってそういう音楽もできるようにPIERROT を何でもありのバンドにしちゃうのは、なんだか違う気がする。

だったら PIERROT とは別のバンドなりソロなり何なり、好きにやればいいと思うけど、
それをやるのが簡単なのかと言ったらまた話が別で、
実際、両方の活動をそれなりに満足いく形にするのって簡単なことではないと思う。
でも、是非ともそこを乗り越えて欲しかったというのがいちファンとしての思いではあったが、
PIERROT はそこを乗り越えられなかったというだけのシンプルな話なんだろうねきっと。
「FINALE」、「PRIVATE ENEMY」、「HEAVEN」っていう3枚のアルバムを作りきった時に
なにかひとつを「やりきった感」があったと思うんだけど、
やっぱりそこが一つの転機なのかなあと想像。
ドキュメンタリー映像やインタビューを見る限り、
「HEAVEN」の次のアルバム「ID ATTACK」のツアーは、
多かれ少なかれ、どのメンバーにとってもターニングポイント的な位置づけになったみたいだし。

まあ、もとは同じ目的・目標のもとに集まっていた人たちに
それぞれ違った目標が見え始めたときって結構難しいしよね。
そもそも、人が5人も集まってるのに
全員が同じ目標を同じ形で共有してる方が奇跡なんだと思うけど、
でもその奇跡がなかったらそこまで進んで来れないわけだから、
その関係性の大事さたるや、大変に重要なだけに、大変に繊細なもんなんだと思うよ。
PIERROT みたいに、
世間がなんだー!俺らは俺らの道を驀進するぜオラー!
みたいな尖った姿勢のバンドはなおさらそうでしょうよ。
きっと、今から振り返ると奇跡としか言いようがないくらいに思いが合致していて始めて
成り立つスタイルなんだよきっと。
もう少し結論をゆっくり待つ姿勢があれば
もしかしたら噛み合わない歯車が噛み合うタイミングもあったかもしれないけどね。
どうせそこまで待てないのがPIERROTだったんでしょうよ。


とにかく展開が急すぎたりだったり、
元がメンバー同士仲良いバンドだっただけに、仲違いのインパクトが強烈に響いたりするせいで
外野としてはいったい何があったんだと色々と想像してしまうけど、
結局はただ、それだけのことだったりして。
一度噛み合わなくなったらそっから先って早いしね。
小さいことでも、積み重なればそうなるし。
結論を急げば急ぐほど更にね。
最後は客観的な善し悪しとか理屈なんかじゃなくて、シンプルに感情論だったのかもしれないし。


偶然だけど、私はこれによく似た状況を経験したことがある。
同じところを目指して一致団結してたと思ってた人間が、
急に、何の前触れもなくすべてを白紙に戻して飛び出して行っちゃった時は、
あまりの訳の分からなさにポカーンだったよね。
その時の私は PIERROT で言うところのKOHTA、TAKEO の立場だったんだけど、
キリトの立場だった人とアイジ・潤の立場だった人は青春時代を共にした 15年来の仲で、
何があってもこの2人は互いを裏切ったりはしないんだろうと、はたから見てる私なんかは思ってたんだけどさ。
あれ?と思った時にはもう話が平行線にしかならなくなってて、
その最後といったらもう、それはそれはあっけないもんだった。
お互い人間的な部分で嫌いになったわけではないし、
それぞれ悪意もなく、己の信念に嘘をつけないだけなのは理解できるんだけど、
とにかく話が噛み合わないから落としどころが全く見えない。
最後は第三者を介してしかやりとりができないようなところまでいっちゃって、
もうこれ、理屈や説得でどうにかなる感じじゃない、直感でもう、ダメなんだな、って状態。
あんなに信頼し合ってた2人だったのに、袂を分かつ時なんてこんなもんなのか、
って思ったよね。
完成な余談だけど。


実際、PIPERROT もそうだったのかどうかは知る由もないんだけど、
きっとそんな感じだったんだろうなぁと、勝手に思うことにしている。
どうせ真実なんて語られないし、別に語られなくて良い。
この手の話は、各々が勝手に立てた仮説に
「そうかもしんないねー」とか言って済ませるのが一番いいと思う。

でも、アイジや潤が最後まで公の場でキリトや TAKEO や KOHTA への反論をしなかったのは本当によかったと思う。
泥仕合だけは見たくないもん。
そして、すべてはリーダーである自分の力のなさに原因があると言ってのけたキリトは、心の底から立派だと思ったし、
メンバーチェンジはできない、この 5人だからこそ PIERROT だったという言葉にも感動した。
そこが救いだったし、それでこそ PIERROT だと今でも思っている。


そんな感じで、解散当時は色々思ったりもしたし、
このやるせなさはどうすりゃいいんだー!!とイライラ、モヤモヤしたので、
ノーテンキなりにピエロスを味わったってことになるのだと思う。笑
解散後しばらく経ってからも、
普段 PIERROT の事なんか考えてないくせにふと思い出したりして、
もう PIERROT のステージを見ることはできない、と思ったら暗い気持ちになることもあったけども。
そのたびにこのサイトが、ちまちま更新されていくという、ね。笑

そのせいかどうかは知らないが、
再結成は素直に嬉しくて、「やったー!!!」って感じだった。
自分ももういい歳だし、アイジ潤に対してテメーコノヤロウとか思ってたときの気持ちはすっかり忘れたよ。笑
再結成なんて贅沢は言わん、
仲直りと言うほど完全な修復も望まん、
せめてまた一言、二言ずつでも、会話を交わす仲に戻ってくれたらなと、それぐらいの思いだったのに、
まさかの再結成ライブ 2days。
時が解決するってホントだなと思ったし、生きてりゃいいことあるなと思った。笑

その再結成ライブでのキリト MC の、

PIERROT としての今後は何も決まってない。
だから何も約束はできないけど、
そのかわり、PIERROT がここで終わりだと言うこともしない。
自分たちも明日からは帰るべき今に帰る。
だから君たちも今を生きてください。

という言葉は本当に沁みたし感動すら覚えた。
人生は綺麗事だけで成り立つものではないと教えられた気がしたし、
大人になるっていい事だなと思ったよ。笑
昔のことは今更語るつもりは無い、
このタイミングでライブをやる理由は、やりたかったから!以上!
という宣言(笑)も、その潔さに痺れたよね。笑
昔とは変わったなと思ったけど、その生々しさがすごく PIERROT らしくて、
これで PIERROT という生霊はやっと成仏出来たなと思ったら清々しかったもんね。笑

色々あったけど、今こうあることが出来たのだから、
解散も含めて、よかったねって今なら言える。
今後の PIERROT はあるのかないのかどうなのかも分からないけど、
まーどっちでもいいけど期待はしてるからね!
って何も考えずに言えるし、そう言えること自体が嬉しいよっていう、
なんだかそんな気持ちです。

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